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Νύξ(ニュクス) 第4号
(堀之内出版、2017年8月刊)
「開かれたスコラ哲学」という今回の特集のねらいは、スコラ哲学の隠された知恵を復興させることによって、現代の知を照らし出す新たな光源を獲得することだ。
エピグラフとして引用した「夜(nyx)は更け、日は近づいた」という新約聖書の「ローマ人への手紙」の一節は、キリスト教という新たな光の登場に直面した心の躍動を伝えるパウロの感銘深い言葉だ。今回の特集を一つの契機として、スコラ哲学の知恵の光が、現代の混迷という夜の闇をに一条の光を与えてくれることを願っている。〔....〕

神を含めたこの世界全体についての驚くべきほど体系的で豊かな知恵と洞察を含んでいるスコラ哲学の魅力が多くの人に共有されていないというこのような状況は、スコラ哲学の研究者や、他の哲学分野の研究者にとってのみではなく、また一般の読書人にとっても、極めて不幸なものではないだろうか。スコラ哲学のその魅力とその存在意義がより多くの人に伝わるような回路を開拓していくことが急務だと思われる。「開かれたスコラ哲学」という今回の企画は、このような問題意識から生まれたものだ。〔....〕

スコラ哲学の翻訳は、全20巻に及ぶ『中世思想原典集成』や全45巻に及ぶトマス・アクィナス『神学大全』が存在しているが、スコラ哲学の開かれたアクチュアリティを訴えかける今回の企画を通じて、これらの原典テクストを紐解き、スコラ哲学の魅力により直接的に触れてみる読者が一人でも多く生まれてくることを祈念して擱筆したい。
(「第一特集 開かれたスコラ哲学」より)

■目  次■
第一特集 開かれたスコラ哲学 [主幹・山本芳久]
スコラ哲学からの挑戦 稲垣良典・山本芳久 対談
自己を越え出る愛のかたち――トマス・アクィナスと擬ディオニシオウスにおける「脱我」 松村良祐
自己投企と受容―東方教父起源の「神との合一」概念のトマス的再生 土橋茂樹
三大一神教と中世哲学――超越と理性 山本芳久
聖と俗のあいだのアリストテレス――スコラ学、文芸復興、宗教改革 坂本邦暢
初期近代スペインとスコラ学――反マキャベリズムにみる「有用な統治」と「善き信仰」 松森奈津子
法的拘束力の説明モデルとしての自然法論――ルソーからスアレスへ 飯田賢穂
トマスとヘーゲル――有限者と無限者の関係をめぐる試論 三重野清顕
ハイデガーとスコラ学――超越範疇から超越論思考へ 村井則夫
フランス現代思想とスコラ哲学 山内志朗
マッキンタイアの「トマス的実在論」――哲学探究の基本構造 山本芳久
The Tasks of Philosophyより 第九章 自らの課題に呼び戻される哲学――『信仰と理性』のトマス的読解 アラスデア・マッキンタイア(野邊晴陽 翻訳)
第二特集 分析系政治哲学とその対抗者たち [主幹・乙部延剛] 
対抗する諸政治哲学――分析的政治哲学と大陸的政治哲学を中心に 乙部延剛
分析系政治哲学における親科学的傾向?――反照的均衡とその行方 松本雅和
政治哲学における思考実験とその擁護 井上 彰
政治的リアリズムの挑戦――寛容論をめぐって 山岡龍一
嫉妬・正義・民主主義 山本 圭
引かれ者の小唄――「大陸系」政治哲学が語ろうとすること、「分析系」政治哲学が語らないこと 森川輝一

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