亀井 伸治ゼミ
Nobuharu Kamei seminar

演習テーマ『幻想文学研究』

アルゼンチンの高名な文学者ホルヘ・ルイス・ボルヘスは、「ドイツは、哲学と小説の領域において幻想文学というものを所有している — というよりむしろ、ただ幻想文学のみを所有している」と述べています。しかし、ドイツ文学に限らず「幻想的なもの」は、どの国の文学においても最も大きなテーマのひとつでしたし、いまもそれは変わっていません。

この演習では、十八世紀半ばから二十世紀半ばまでの約二百年間に書かれた西欧(特にドイツ語圏と英語圏)の幻想文学を題材に採り上げて研究します。また、文学作品は単独で成立している訳ではなく、さまざまな国の作品同士、あるいは、作者の創作動機や創作過程の文化的な背景と作品の間には複雑な関係が存在しています。そこで、各作品を個別に分析すると同時に、比較文学の方法を用いて、異なる国の作家たちが互いに対して行う解釈や表現の仕方の違いなどを眺めれば、作品への理解をより深いものにできます。

さらに、文学作品は、ますます多様に他の芸術分野との関わりを持つようになって来ているので、例えば、映画などの映像の領域にも考察の対象を拡大することにより、文学と他の芸術分野との関係や、それぞれの分野の特性への関心を培うこともできるでしょう。

ちなみに、わたくしの専門分野は、十八世紀末のドイツ語圏の小説、特に、当時の娯楽小説を代表するジャンルのひとつである〈恐怖小説(シャウアーロマーン)〉に属する作品です。〈恐怖小説〉とは、同時代に英国で大流行していた〈ゴシック小説〉のドイツ版です。〈ゴシック小説〉というのは、お化けや幽霊が出没する城館や僧院などを舞台にした「怖い」小説で、その後のミステリーやサスペンス、ホラー小説・映画の元になりました。

何より文学や芸術(音楽、美術、映画など)が大好きで、知的関心と学習意欲の旺盛な学生諸氏の積極的な参加を期待しています。

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