中央大学 中央大学Webサイト
掲載バックナンバーはこちら

イキイキと活躍する学生・学員をご紹介 進取果敢

杉本ゆかりさん

学員時報オンライントップ > ピックアップコンテンツ > イキイキと活躍する学生・学員をご紹介 進取果敢

CBSでの学びを生かし、
医師と患者とのコミュニケーションの重要性を伝えていきたい

2017年(平成29年)8月29日


杉本ゆかり さん

 企業の秘書、医療系専門学校の専任教員、校長職を経て、コミュニケーションや人材育成をテーマにした講演や講義で活躍する杉本ゆかりさん。2013年(平成25年)にMBAプログラム(専門職学位課程)を修了し、鈴木敏文賞と優秀論文賞を受賞。現在は仕事をこなしながら、DBAプログラム(博士後期課程)に進み、多忙な日々を過ごしている。そんな杉本さんに、CBSでの学びや、今後の展望をうかがった。





<プロフィール>
経営修士(MBA)。中央大学専門職大学院戦略経営研究科修了(2013年)。現代医療問題研究所所長、オフィスルーチェ代表。群馬大学大学院非常勤講師。中央大学ビジネススクール戦略経営アカデミー講師。NPO法人群馬がんアカデミー副理事長、NPO法人バイオフォーラム理事。中央大学南甲倶楽部会員。

CBSで学んだ理論と実証に基づき、患者満足度の研究をすすめる

――さまざまにご活躍されていますが、どういったお仕事を?

 企業向けの講座や研修会の講師などを行っています。ベースはコミュニケーション論ですね。MBA取得後は、マーケティングやマネジメント、人材育成に関するテーマも増えました。講演先は医師会や大学病院、一般病院などの医療機関、製薬会社。あと、JAです。
 教育活動では、群馬大学大学院博士課程の非常勤講師をしています。こちらでは、アントレプレナーシップ論(マーケティング論、経営戦略論)と、研究リーダー論(コーチング論、ファシリテーション論)の講座を一部担当しています。
 中央大学では、年2回ですが、CBSの戦略経営アカデミーで一般の方向けの講座を持たせていただいています。私自身、博士課程の学生でもありますから、学生をしつつ、仕事をさせていただくという感じですね。

――もともとは企業の秘書をされていたとか。

 メーカーの代表取締役秘書をしていました。その後、医療系国家資格を取得する専門学校の専任教員になりました。そのきっかけというのは、秘書時代、周囲の方々を見ていて、「もう少し言葉がけや態度、相手への思いを表現できたら、もっとよりよく生きていけるのに」思うことが多かった。すごくいい素質を持っているのに、と。僭越ながら年齢に関係なく、そういう方が多いと感じていました。それを1人ひとりに言おうとしても、なかなか伝えきれないですよね。でも教員ならば、授業で伝えることで多くの人に広がっていきます。たまたま専任教員の公募があり、転職を決意しました。

――なぜビジネススクールで学ぼうと思われたのでしょうか?

 専門学校で校長職に就いていたとき、某医師会で患者とのコミュニケーションについて講演する機会がありました。100人を超える医師が講座を受けてくれました。日本では2005年(平成17年)にOSCE(オスキー:臨床能力の実技試験)が実施されるなど、医師と患者のコミュニケーションがより重要になってきていました。
 その講演で、私の座長だった某病院の医長が「コミュニケーションが大事なことはわかるが、そんなことを医者がやっている時間はない。患者との細かいコミュニケーションは、看護師や事務員がやればいいんだ」とコメントしたのです。コミュニケーションをとることは、医師の仕事ではないと思っていたのでしょう。あわてて医師会長や病院長が「もうそういう時代ではない。患者とのコミュニケーションを通じて、患者を理解する必要がある」と謝ってくださいました。ですが、そのような考えの医師はいるのだ


 ▲ 修了式
ろうな、と本音を感じる出来事でした。
 では、患者が抱える問題をコミュニケーションによって引き出し、患者を理解することの重要性を、どうしたらわかってもらえるのだろうか。医師を説得するためには、理論とエビデンスを示す必要があると考えました。それらを学ぶために大学院に進学しようと決意したのです。

――それでMBAを取得しようと思われたのですね。

 そうです。医師の多くは医学博士を取得しています。学位を持っているだけでは説得力がない。極端に言うと、それだけでは信頼につながらないのです。
 しかしマーケティングや戦略など、ビジネスの視点で患者満足やコミュニケーションを捉えることは、ある意味、医師が踏み込んでいない分野です。MBAを取得すれば、信頼性が高まり、医師も納得してくれるのではないかと考えました。

――理論やエビデンスとは、たとえばどういったものですか?

 患者満足度とは、病院や医師などの医療職に対する患者の主観的な評価であり、医療経営のために必要であると言われていました。しかし最近では、患者満足度が上がると、患者の行動をポジティブに変えることができることが理論的にわかってきたのです。
 たとえば、予約してもキャンセルしがちな患者が、約束をきちんと守り来院し、定期的に受診するようになる。医師の指示を守らず、処方された薬を毎回飲まなかった患者が、医師の指示を守り、薬を飲むようになる。リハビリに来なくなった患者が、きちんと取り組むようになる。その結果、治療効果があがる、といったことです。
 つまり、患者満足度を上げるということは、医療経営のためだけでなく、患者にとっても有意義あるということが、研究でわかってきているのです。このように、MBAで学んだ理論や研究結果を使って、患者のよりよい治療結果を導き、よりよい医療経営を可能とするために、さらなる研究や講演活動が必要だと思っています。

▲TOP