総合政策学部

yamaguchi

平野 廣和 / ヒラノ ヒロカズ

総合政策学部・教授

長周期地震で発生する浮屋根式タンクのスロッシング現象を減衰させるための装置の開発

1.研究の目的・目標
・海溝型巨大地震で発生するやや長周期地震動で大型石油タンクに発生するスロッシング現象による浮屋根動揺の被害発生機構解明と安全確保技術の確立。
・スロッシングを止めるのではなく,地震時に浮屋根がスロッシングで揺れることは許すが,これを素早く抑えて揺れを止める方向に導くことを検討。
2.開発の過程
2004年より,中央大学理工学研究所,鰹\川ゴム,中井商工鰍フ産学連携で開始。
(1) φ600モデルによる実験:浮屋根に合成ゴム製バッファーを取付けることによるスロッシング減衰効果の可能性について振動実験で確認。
(2) φ4,000モデルによる実験:苫小牧で被害を受けた浮屋根式タンクの1/10モデル(直径4m)を用いて振動実験を行い,浮屋根の挙動把握を実施。浮屋根周辺に合成ゴム製バッファーを装着し減衰効果確認。
(3) 実機タンクでの加振実験の実施と実用化の検討(総務省消防庁消防防災科学技術研究推進制度助成による)直径15.5m,高さ10.7m,1,600KLの実機タンクで加振実験を行い,減衰効果と実用化の確認。

 

加振実験タンク(秋田県男鹿市)

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制振装置の取付け

【特許】

特許第4491304号

【キーワード】

構造工学 耐震構造 地震工学

多方向転動型質量同調ダンパー(Tuned Rolling Mass Damper)通称「コロコロダンパー」の開発

橋梁の振動により,高架橋の標識柱・照明柱等の長柱構造物(ポール製品)基部が破損や折損を起こすといった現象が問題視されている。その原因としては,阪神淡路大震災以後の橋梁において,支承に積層ゴムを用いたため,橋自体が揺れやすくなったという背景がある。高架道路を走行する大型車両による起振作用や風等により,長柱の取り付け部等の応力集中部で疲労破壊を起こすことも報告されている。また,高架橋の桁自身の固有振動数と,橋梁付属物である標識柱の固有振動数が両者とも2〜4Hz程度であり,桁の振動により標識柱が共振を起こす可能性も指摘されている。
そこで,本研究では,現存の標識柱・照明柱の揺れを抑えて延命することのできる,簡単で低コスト,かつ水平方向と鉛直方向の多方向が制振可能な装置を開発した。
多方向転動型同調質量ダンパーとは,転動する球とそれを受ける減衰効果を高めるために粘弾性体である合成ゴムで構成された半球状の容器で構成されている。その減衰の原理は,水平方向には同調質量ダンパー(TMD)と同様に,構造物の固有振動数とほぼ等しい固有振動数を有したダンパーを,構造物の振動に対して逆位相で振動させて制振をはかる。大振幅時ならびに鉛直方向には衝撃ダンパーとしての機能を有している。以下のような特徴を有している。
(1) 長柱(ポール製品など)の卓越する振動を効率よく抑制する。
(2) 転動する球とそれを受ける半球状の容器で構成されているため多方向の振動に対応できる。
(3) 比較的小振幅の振動も抑えられる。
(4) 制振作動時の騒音がほとんどない。
(5) 既存の長柱に対して比較的容易に設置可能で,簡単な構造,かつ,メンテナンスが容易。
(6) 小型である。
(7) 既製品を用いて低コストで製作できる。
(8) 衝撃ダンパー(大振幅時)とTMD(小振幅時)の機能を併せ持つ。
本ダンパーは,首都高速道路鰍ノおいて監視用カメラ制振装置の標準設計仕様として採用された。首都高速道路上の各所に設置済みである。なお,本研究は,鰹\川ゴム,中井商工鰍フ産学共同研究である。

転動型同調質量ダンパー
現地計測での効果確認結果(橋軸直角方向振動TRMDの有無を比較)

【特許】

特許第4401095号

【キーワード】

構造工学 地震工学 維持管理工学

複合材料を用いた固体音減衰装置の開発

阪神・淡路大震災以降,鋼製橋梁では,耐震性の向上ならびに落橋防止を目的として,桁の連結化,ゴム支承への取り替えが広く行われている。この工事を施工することにより,桁本体が施工前の構造系と比較して異なった振動傾向を示している。例えば,大型車両が橋梁のジョイント部を通過したときは,衝撃振動と衝撃音が発生し,この振動が桁本体に伝わり,横桁の腹板等が振動を生じる放斜音現象が発生している。ここで発生する振動数帯は,20Hz〜100Hzで人間の可聴音の下限界値に近い範囲であり,沿道住民には「太鼓の音」・「遠雷の音」や「地震の地鳴り音」の様に聞こえる不気味な騒音となっている。放射音を減少させるためには,発生源であるジョイント部分の舗装と不陸を修正するなどの対策が施されてはいるが,構造的には完全にうち消すことは困難である。桁本体に補剛材を取り付けて剛性を上げたり,コンクリートを付加して重量を増やす試みも行われている。しかし,これらの対策には,足場の組立・解体,養生・防食対策,施工期間の長期化,重機使用のための交通規制等,二次的な問題が発生する。そのため足場等が不要でかつ施工期間が短く,構造の変化を伴わない防音対策が望まれている。このような背景から,共振している部材に軽量の複合材料の制振板を密着させることにより,振動エネルギーを減衰させる減衰材料であるパッシブ型の手法の開発をした。平成18年度現在,2カ所の都市高架橋での施工実績を有している。

低周波騒音減衰装置

【特許】

特許第3902905号

【キーワード】

構造工学 地震工学 維持管理工学

橋梁の耐風設計へ数値流体解析を適用するための研究

数値流体解析を用いて橋梁の耐風特性を検討する場合には,橋梁断面が非流線型でスケールが大きいこと,風が制御されていない乱流であること,さらに空力弾性問題に主要な工学的関心があること等々色々な困難な要因がある。さらに,解析で得られた結果と,実際の設計との連携も十分に確立されていないこともある。前者の空力弾性問題等に関しては,現在までアプローチにはある程度目処がつきつつあるが,後者の設計との連携は今だ確立していないのが現状である。このようなことを背景として,有限要素法に基づく数値流体解析での空力弾性問題での特性評価を行う解析手法の開発を行っている。さらに実際の橋梁の耐風設計に即座に反映できる有効的な手法の開発を行っている。具体的には以下の項目である。
1)空力弾性問題への適用
3次元空力弾性問題の一つである橋梁の耐風設計に,即座に反映できる有効的な解析手法を開発した。数値流体解析の基本断面である円柱まわりの解析をレイノルズ数をパラメータとして解析を行い,風洞実験値と結果が良く一致する結果を得た。さらに,橋梁基本断面の一つである矩形断面の大規模解析を実施し,風洞実験で得られた現象を数値流体解析で再現できることを示している。
2)実橋梁断面解析
実際に施工された箱桁断面の風加重の解析を,数値解析で風洞実験結果と一致する結論を得た。これより,実構造の設計に数値解析が適用できること,さらに,エンジニアリング上必要な適用範囲も提案している。
3)耐風設計との連携
数値流体解析で得られた結果を実際の耐風設計に生かすことを試みている。耐風設計のための基本的なパラメータを正確に数値解析により評価することにより数値解析でも設計上のパラメータを決定するには実用に耐えうることを示している。
2005年日本風工学会 学会賞(論文賞)受賞研究

1:4角柱回りの流れ

【キーワード】

構造工学 地震工学 維持管理工学 風工学