理工学部

地学・生物学教室

ouchi

大内 俊二 / オオウチ シュンジ

理工学部地学・生物学教室・教授

隆起と降雨侵食による地形進化の実験的研究

山地地形に代表される侵食地形は,証拠となる物質が持ち去られているために,地表の重要な部分をしめる割にはその発達過程について理解が進んでいるとは言い難い。コンピューターシミュレーションによる侵食地形発達の研究でも基礎データが乏しいことには変わりない。本研究の実験は,地下に埋設した隆起装置の上に作られた細砂とカオリナイトの混合物による砂山に細かい人工雨を降らせて微小な侵食地形を作り出し,砂山全体を少しずつ隆起させて,微小侵食地形の発達過程を観測・計測するものである。実際の地形とはスケールが大きく異なるが,地球上で実際に起こり得る現象による変化であり,手がかりの乏しい侵食地形の発達を明らかにする上で有用な知見をもたらす可能性がある。今のところ,隆起と侵食の間に平衡状態を想定することが難しいこと,扇状地の発達が局地的な侵食基準面を規定し,これに隆起が大きな影響を持つことなどが明らかになっている。

【キーワード】

降雨侵食実験 隆起 平衡状態 地形進化 扇状地

活断層を横切る河川の形態

地殻変動の激しいわが国では,河川の形態と地殻変動の関係についての知識が必要であるが,今のところ河川形態に地殻変動の影響がみられることが指摘できる以上のことはよくわかっていない。本研究は,このような問題について少しでも理解を進めるために,活断層によって変形された河川の形態をできるだけ細かく調査・計測し,水路実験も参考にして,断層運動による変形と河川の反応を明らかにすることを目標とした。屈曲河川についての野外計測では,変形された部分の縦断形に何らかの不連続が見られたが,水路実験の結果,野外での観察,流路幾何的な解析から,この屈曲部での縦断形の不連続は概ね断層の縦ずれ・横ずれと河床勾配との関係から説明可能であった。

【キーワード】

屈曲河川 横ずれ断層 河川形態 水路実験

海底扇状地の形成に関する水路実験

海底扇状地は,原油含有砂岩層の分布に関連することから注目を集め,砂岩層の層序・層相をもとに各種の形成モデルが提唱されている。海底扇状地を形成する乱泥流についても,多くの実験的・理論的な研究がなされている。しかし,深海プロセスの観察は難しく,形成モデルはまだ想像の域を出ていないし,実験的・理論的な研究にも明確なプロトタイプがあるわけではない。本研究では,粘土と塩を混入して水底の斜面上に密度流を発生させ,この流れに砂を投入して斜面を流下させた。砂はローブ状に流下・堆積し,重なって扇状地状の堆積形態を形成した。粘土は砂と分離し,水路底に堆積した。この実験において,砂のローブが水路底に進出して粘土層に乗ると動きが加速されること,緩斜面上のほうが粘土の堆積があるために砂の動きが加速されてより長い扇状地ができること,水面低下に伴って容易に堆積面の崩壊が起こるなど,多くの興味深い現象が観察された。

【キーワード】

海底扇状地 砂岩層 粘土 密度流