理工学部

情報工学科

taguchi

田口 東 / タグチ アズマ

理工学部情報工学科・教授

通勤電車の遅延計算モデル

東京首都圏の公共交通機関は,毎日1,000万人に近い乗客が通勤通学をはじめとする移動に利用しています。朝夕のラッシュ時の混雑を緩和したり,各地域間のアクセスをさらに良くするために,郊外だけでなく都心部においても新しい路線が建設されています。供給側だけでなく,新しいオフィス地域の出現という短時間の需要の変化,人口減少と高齢化による長期間の需要の変化があります。それらの影響を予測すること,そして,乗客の流れや移動時間の変化の影響を調べることは非常に興味深いものです。そこで,時間変化する利用者の流れを詳細にとらえることが出来るように,時刻表通りの電車の運行をほぼそのまま表現するネットワークモデルを作成しました。本モデルを用いることで,電車の混雑に起因する遅延時間の解析を行うことが可能になります。

通常,電車が混雑すればするほど,人の乗降にかかる時間は長くなり,遅延が発生します。遅延が生ずると,後続電車が影響を受けること,また,先々の駅で待っている人が溜まることで,さらに乗降時間が長くなり,遅延が拡大していきます。混雑によって引き起こされる遅延を計算し,遅延時間に伴って電車ネットワーク構造を変化させることで,遅延を含んだ電車の運行を表現します。

また,東急田園都市線のように,普通と急行が混在している路線では,普通に比べ急行の利用者が多いことが,経験的に知られています。この場合には,普通と急行との乗車人数の偏りが遅延をより大きくする原因となります。そこで,全ての電車を普通にした場合の運行スケジュールを設定し,利用者に与える影響を分析することも可能になります。

【キーワード】

オペレーションズ・リサーチ 交通計画

首都圏電車ネットワークに対する実時間利用者流動推計システム

本システムは,首都圏内に鉄道網を設定する路線網設定サブシステム,優等電車を含む実際の電車の運行を設定する電車ダイヤ設定サブシステム,路線網とダイヤから動的配分問題を静的配分問題として解くためのネットワークを作成する時空間ネットワーク作成サブシステム,駅ごとに実時間での利用者を推計する電車利用者推計サブシステム,利用者の乗車する電車の選択結果を推計する乗車電車推計サブシステム,から構成されている。このシステムの特徴を挙げると,(1) 利用者の時間的変動を扱っている,(2)電車の運行を1列車ごとの運行として明示的に直接表現している,(3) 利用者の利用を路線ごとではなく,首都圏の全路線を対象として出発地から目的地までの移動を一貫して扱っている,(4) 利用者の乗車する電車選択を利用者均衡問題として扱っている,の4点である。このシステムを用いて,新規路線の開発,交通システム運営戦略,需要者の変化に対する詳細な評価を行うことができる。

【キーワード】

交通計画