東京首都圏の公共交通機関は,毎日1,000万人に近い乗客が通勤通学をはじめとする移動に利用しています。朝夕のラッシュ時の混雑を緩和したり,各地域間のアクセスをさらに良くするために,郊外だけでなく都心部においても新しい路線が建設されています。供給側だけでなく,新しいオフィス地域の出現という短時間の需要の変化,人口減少と高齢化による長期間の需要の変化があります。それらの影響を予測すること,そして,乗客の流れや移動時間の変化の影響を調べることは非常に興味深いものです。そこで,時間変化する利用者の流れを詳細にとらえることが出来るように,時刻表通りの電車の運行をほぼそのまま表現するネットワークモデルを作成しました。本モデルを用いることで,電車の混雑に起因する遅延時間の解析を行うことが可能になります。
通常,電車が混雑すればするほど,人の乗降にかかる時間は長くなり,遅延が発生します。遅延が生ずると,後続電車が影響を受けること,また,先々の駅で待っている人が溜まることで,さらに乗降時間が長くなり,遅延が拡大していきます。混雑によって引き起こされる遅延を計算し,遅延時間に伴って電車ネットワーク構造を変化させることで,遅延を含んだ電車の運行を表現します。
また,東急田園都市線のように,普通と急行が混在している路線では,普通に比べ急行の利用者が多いことが,経験的に知られています。この場合には,普通と急行との乗車人数の偏りが遅延をより大きくする原因となります。そこで,全ての電車を普通にした場合の運行スケジュールを設定し,利用者に与える影響を分析することも可能になります。 |