理工学部

精密機械工学科

matsumoto

松本 浩二 / マツモト コウジ

理工学部精密機械工学科・教授

マイクロバブルの工学的応用に関する研究

近年,工学,環境,医学,農業分野でのマイクロバブルの応用が行われ,従来のミリバブルと比べて寸法効果により,有益な結果が報告されている。本研究では,工学的応用例の一つとして,マイクロバブルを含有した水を考える。そして,例えば,バブル成分としてオゾンガスを使用すれば,オゾンの殺菌効果により,オゾンを含んだ水を利用することで,食品の殺菌が可能となる。さらに,このオゾン水を凍結させて生成する氷を使用すれば,従来に比べてより長期間食品の冷蔵に適用できる。現在,減圧により,水の蒸発潜熱を利用し氷を生成し,それにオゾンガスを噴霧する等の方法も提案されている。しかし,上記の方法に比べて,オゾンガスをマイクロバブルの形態で水・氷に注入することで,そのバブルの寸法効果により効果的に注入でき,効率的にオゾンを含んだ水・氷が生成され,それは,従来の方法に比べて優位性があることが期待される。さらに,オゾンガスの水・氷への取り込みのメカニズムを解明し,効果的な取り込み条件を明らかにすることも重要である。また,マイクロバブルは,種々の生成方法があり,生成方法により特性が大きく異なるので,生成方法の影響の解明も重要となる。

【キーワード】

マイクロ・ナノメカトロニクス マイクロバブル

食品の冷蔵を目的とした人に優しい氷スラリーに関する研究

新たに提案する食用油・食用乳化剤から生成されるW/Oエマルションから,深夜電力を利用して生成される人に優しい高機能氷スラリーは,その利用が従来の空調以外に,食品の冷蔵および空調と食品冷蔵を同時に実施できるハイブリッドなシステム等に拡大できれば,氷スラリー利用の普及が空調のみの場合に比べ各段に広がることが予想される。その結果,深夜電力の利用のさらなる普及により,安定的に電力負荷平準化が実現できる。加えて,深夜電力は,他に比べて地球温暖化ガスであるCO2の排出が少ないので,環境負荷低減にも大いに貢献できる。食品の冷蔵の一例としては,保冷車内の冷凍機の代わりに,深夜電力を利用して,安定的に生成された人に優しい氷スラリーを使用した保冷車での食品冷蔵システムが考えられる。現状での全国の保冷車の台数を考慮すると,仮にその一部でもそのシステムが採用されるなら,提案した氷スラリー利用の普及が各段に促進され,その結果,電力負荷平準化やCO2排出抑制に大変貢献できると考えられる。また,廃棄時の環境負荷を考えると,従来の工業用材料からできている材料に比べ,環境負荷も小さいと考えられる。本研究において,安定的に人に優しい氷スラリーを生成するための条件を明らかにする。

【特許】

特開2009-051878

【キーワード】

冷凍・空調 食品冷蔵

氷の付着に関するナノスケール場とマクロスケール場を連成するための研究

氷の固体表面への付着現象は,氷蓄熱システムにおける氷スラリー生成時の熱交換器内での管内閉塞はもちろんのこと,その他に例えば,スペースシャトルの液体燃料タンク表面での水蒸気の凍結により発生した氷の落下問題,新幹線等の列車運転席の窓ガラスに張られているフィルムとガラスの間の結露により発生した水の凍結,そして寒冷地での船上での海水の着氷等多くの事例に関わる。それらの事例は場合によっては,重大な事故の原因となり,それらの事故を防ぐには,そのメカニズムの科学的・工学的解明が急務である。本研究では,固体材料への氷の付着力と固体表面での冷却熱流束及び固体の表面エネルギーの相関を示し,氷の付着力に対する支配因子を明らかにしてきた。今後は,氷の付着現象に関して,ナノスケール場とマクロスケール場の連成理論を構築する。さらに,工学的問題として,氷の付着力を低減する方法についても検討する。

ナノ及びマクロ-スケール場での氷の付着力の比較

【キーワード】

表面・界面 付着力

氷スラリー生成のための氷のかき取りに関する研究

需要電力に対する電力供給の不足は,社会に与える影響が非常に大きく,その損失は計り知れないものである。そのために,電力負荷平準化の実現は,今後益々重要かつ緊急な課題である。電力負荷平準化のための極めて有効な手段として,深夜電力を利用して氷スラリーを生成し,昼間に氷スラリーを搬送し,搬送場所でその氷を溶かして冷熱を空調に利用する,ダイナミック型氷蓄熱システムが注目されている。氷蓄熱における氷スラリー生成の代表的な方法の中に,冷却面に生成された氷を回転刃によりかき取る,ハーベスト法がある。この方法は,従来は製氷時に問題となる壁面氷結を考慮する必要がないという利点があるが,氷のかき取り力(かき取り仕事)の評価は重要となる。
本研究では,エチレングリコール水溶液を攪拌・冷却することで,炭素鋼冷却面上に氷を生成・成長させたとき,冷却面の表面温度・表面粗さ,製氷時間,水溶液濃度,過冷度,かき取り位置及びかき取り回数が氷の成長の仕方や氷のかき取り力(かき取り仕事)へ及ぼす影響を検討する。さらに,かき取られた氷の冷却面からの離脱挙動を分類し,それらのパラメーターと離脱挙動の相関を検討する。

【キーワード】

表面・界面 かき取り力